のぎりのメモ帳

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『なっちゃんの秘密』チーム論の本

なっちゃんの秘密―商品デザインは人間を見つめることから始まる。 (商品づくりの書)

なっちゃんの秘密―商品デザインは人間を見つめることから始まる。 (商品づくりの書)

サントリーなっちゃんやBOSSなどのデザインを手がけてきた加藤芳夫さんの仕事論、チーム論の本。

要点

  • BOSSの開発
    • 缶コーヒー好きの心をつかむために、どんな人が飲むのか、その人たちがどんな飲み方をするのか、ターゲット像の精神構造まで組み立てた。
    • みんなが「この事業を動かしている」という気持ちを強く持って仕事をしていた。デザイナーもデザインだけではなく、味開発の人も味のことだけじゃなく、商品をどう売るかまで考えて、まるで社長のように取り組んでいた。
    • お互い自分の持ち場での力をフルに発揮することはもちろんのこと、専門外の部分こそ一緒に考え、アイデアを出し、作り上げていく。
    • どんな人に聞いたところで、多分その時僕らが考えているその商品について僕らより真剣に考えている人はいない。「自分がほしいのか、本当に自分が買いたいのか」と自分に問いかけて得る答えのほうが、恐らく当たる確率が高いはず。
    • (デザイナーさんの一人 石浦さんのコメント)より風景に溶け込んだ商品になってほしい。飲む人の生活そのものに溶け込んで、人生の一部に影響を与えるような存在になってもらいたい。
  • なっちゃんの開発
    • (当時ダウントレンドだったオレンジジュースを改めて考え直した理由として)「今は何が上昇気流か」というところから決めてしまいがち。それでは誰かの後追いになってしまう。自分が何を食いたいのか、初めにネタありき。
  • デカビタCビックルの開発
    • オリジナリティがありすぎるのも、なさすぎるのも、やはりしっくりこない。その何処を指してクリエイティブとモノマネの境があるのかも難問ではある。ただ考えてみれば、世の中、コピーじゃないものなんてそうそう存在しない。

思ったこと

まさに、攻殻機動隊SACで荒巻さんが言ったようなチーム。こういうチームのあり方は憧れる。
当時、サントリーも縦割り分業制から上記のような横断した組織体制に移行しようとしていたそうで、
組織として本気でやらないとこういうチームは生まれないんだろうなとも思ったり。
アートとしてデザインするのではなく、生活に溶け込んで(そしてゆくゆくは消費されて)いくデザインこそが、プロダクトをデザインするってことなんだ。その思想は何かジーンとくるものがあった。